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花組『蘭陵王』KAAT神奈川公演 [宝塚感想 花組]

先日、宝塚歌劇花組公演『蘭陵王』をKAAT神奈川芸術劇場にて観てきました。

KAAT神奈川芸術劇場に初めて行ったのですが、ホール入口が遠くて焦りました。
劇場のあるビルにやっと着いたと思ったら、ホール入り口が5~6階上がったところにあり、A席だとそこからさらに3階上まで上がらなくてはならず、開演ギリギリに席に滑り込んだ感じになってしまいました。
「みなとみらい線日本大通り駅から徒歩5分」を信じてはいけない。

蘭陵王、トータルとしてはよかったです。
演出やセリフの言葉選びにはクレームをつけたい部分はあるものの、演じる方々が個性を発揮ししててよかったです。

まずは主役の凪七瑠海さん。いい声ですね。
最初は少年役で登場してたのですが、透き通るような高い声で、「男役さんなのにこのお声!?」とビックリしました。

しかも、「歌ってます!声出してます!!」というような姿勢・体の動きではないんですよね。決して張り上げるような発声ではないのによく通る。元々の音質がいいんですね、おそらく。
後半の大人の男役としての低い声も、もちろんいいお声。声の使い分けが自在ですね。
凪七さんは男役ながらエリザベートに大抜擢された経緯がありますが、この声なら凪七さんにエリザベートを歌わせてみたいと思うかも。
今度スカステで放送されたら、じっくり見てみたいと思います。

そして、お芝居も、感情のない少年時代から、武術のことばかりの不愛想な青年時代、そして最後のハッピーエンドと、しっかり感情を描き分けていました。
そうそう、凪七さん演じる少年時代の高長恭(蘭陵王の本名)、色っぽかった。権力者が欲しがるのが納得できるエロさ。
『ベルリン、わが愛』の時に凪七さん演じるゲッベルスもエロかったですが(特に、ヒロインのジルに関係を迫るところでネクタイを緩めるしぐさが!!)、こっちの少年時代も無垢なエロさ。
かわいそうなシーンではありますが(もちろんタカラヅカなので、オブラートに包んだ演出)、美しく生まれた故の宿命なのかと思わせる雰囲気を醸し出していました。
凪七さんはセクシー担当なのかしら??

それにしても、今残っている89期生はそれぞれ個性豊かで芸達者で魅力的ですね。
七海ひろきさんしかり、望海風斗さんしかり、明日海りおさんしかり。
どこかのブログで「89期の海に溺れる」という表現されてた記憶がありますが、うまいこと言いますね。

ヒロインの洛妃を演じる音くり寿さんもよかったです。
声のいい凪七さんに負けない歌声。東洋の黒髪の似合う色っぽいビジュアルで、徐々に蘭陵王にひかれていきながらも伝えられない不器用さがかわいかったです。

圧巻なのが、語り部の京三紗さん。感情をこめすぎず、かといって淡々ともしすぎず、いいバランスの声で歴史を伝える立ち位置で語っていました。
物語に引き込まれる語り口。
今後、機会があれば、ラジオ小説とかやって欲しいかも。その際は藤沢周平とか葉室麟とかの時代小説でお願いしたい。

瀬戸かずやさん演じる高緯もインパクト抜群。
登場時に自己紹介がてら歌う皇太子ソング、サイコー!!
「美しいものがだいすき~~」と皇太子の特権をフル活用してお気楽に生きているかと思えば、後半に「海が見たい~~~(中略)でも無理~~~」と歌い、自由なようで自由ではない皇太子という立場をよく理解しているんだな~と思うキャラでした。
平和な時代が何事もなく過ぎていけば、この人も幸せだったろうにね・・・。

そんなちょっぴりかわいそうな高緯が愛したのは、帆純まひろさん演じる逍遙君。
衣装も含めて、このビジュアル好き。
マンガ「キングダム」でこんな雰囲気のキャラいたような・・・。
頭もいいし、高緯と逍遙君であれば、平和な時代をそこそこ平和にやりくりできただろうに。
なんで蘭陵王は殺しちゃうかな~~。まぁ、そこが理解できないところが蘭陵王なんだろうけど。
蘭陵王くん、人の心が読めずぶきっちょすぎるぜ・・・。

今回の公演は、舞台装置がシンプルな分、舞台を役者で埋めるシーンが多く、結果、役者一人一人がしっかり場を与えられていて、目立っていたと思います。
下級生にはチャンスですね。
今回、瀬戸かずやさんはもちろん、帆純まひろさんと音くり寿さんをばっちり記憶しました。

脚本・演出については、話の流れはいいけれど、セリフ回しについては好みが違うなと。
この公演ではダイレクトな言い回しが多かった印象なので。詩的な歌詞やセリフの方が私は好きです。
あと、蘭陵王と洛妃の萌えシーンが足りないっ!というところが不満でした。
最後ハッピーエンドにするなら、もうちょっとさ~~、無自覚なのにひかれあう二人的なもどかしいシーンがあったほうがいいのではないでしょうか。
洛妃の告白のタイミングもあそこでなくてさ~~とか、蘭陵王ももうちょっと惹かれつつある雰囲気を出そうよ~など、ツッコミ所が数か所ありました。

私が脚本家なら・・・という妄想脚本家は、機会があればブログに書いてみたいと思います。


余談ですが、同じ公演を花組の明日海りおさんが見に来ていました。
3階のA席から、「タカラジェンヌっぽい金髪の人が4人いる・・・。男役二人と娘役二人だ・・・」と思ってみてたら、花組の方々だったようです。
タカラジェンヌって、ほんとに生存しているんですね。
一緒の公演をみれて、なんかラッキーでした。


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