星組でモンテ・クリスト伯だってさ！

昨日、2022年9月の星組公演が発表されました。トップスター礼真琴さん率いる星組は、全国ツアー公演『モンテ・クリスト伯』だってさ！

原作は、フランスの小説家、アレクサンドル・デュマさんの名作。デュマの小説だと、私は三銃士よりもモンテ・クリスト伯が一番好きです。図書館で文庫版全7冊（たぶん岩波文庫版）を借りて夢中で読みました。

フランス革命後のナポレオン政権だとか王政復古だとかでごたごたしている時代に主人公エドモン・ダンテスが友人知人3人により無実の罪（政治犯疑い）を着せられて牢獄に長期間閉じ込められてしまい、その後脱獄してモンテ・クリスト伯と名乗って復讐を果たすというストーリーです。復讐する方法、どうやって相手を陥れたかという面白さのほかに、各登場人物の心情や、主人公ダンテスが復讐を誓いつつも神を信じてゆるしたい気持ちとの葛藤・迷いも裏にあってのストーリーで、最後の最後まで結末が読めないところが面白い小説です。

『モンテ・クリスト伯』は映画・ドラマ・設定を変えた小説など、いろんなところでアレンジされています。そして原作ラストとは異なるバージョンが多数存在するらしいです。名作すぎてアレンジも許されてるような感じなんですかね。それだけラストシーンが読めなくて、「もしxxxがzzzなら・・・」といろんな想像をしたくなる小説なんだと思います。

宝塚歌劇での初演は宙組、凰稀かなめさんトップスター時代のやつですね。私は映像で観ました。見目麗しいかなめさんが、汚れたお姿だったり、おひげダンディ闇落ち男性を演じてたりしてました。宝塚の主役としては珍しいお姿。あれを礼真琴さんがやるのか～～～新発見でおもしろそう。

舞空瞳さんは当然メルセデス。同じ職場のおじさまは、実咲凛音さんのお役だとメルセデスが一番好きって言っていました。なかなかの渋好み。渋好みのおじさまに舞空さんメルセデスがどう映るのか、楽しみです。

緒月遠麻さんはモンテ・クリスト伯の家来となる元海賊のベルツッチオ。モンテ・クリスト伯のそばにいて、「復讐をして、それでいいのかい？満たされるのかい？」（セリフはうる覚え）など、観客の心を代弁するようなセリフを言う役どころです。凰稀かなめさんと緒月遠麻さんは同期なので、星組版ではベルツッチオは瀬央ゆりあさんが演じると予想。

タカラヅカ版モンテ・クリスト伯の悪役であるフェルナンは、合流が間に合えば暁千星さんですかね。黒い暁さんがまた観れるなんて、楽しみでしかない。（悪役キャラ好き♡）

さて、以下、タカラヅカ版ラストのネタバレあります。

タカラヅカ版では、ラストはダンテスとメルセデスがくっついてハッピーエンドです。しかも、二人が若いころに戻ってラブラブという感じの、超脳天気ハッピーエンド。原作とは異なります。このハッピーエンドは、結構無理やりです。かなりの無理があるよ・・・。

二人がラストで結ばれるにしても、長い年月で復讐を誓った感情は、そう簡単には溶けないって。いろいろ年月を重ねた二人（おそらく40代）が、あんな脳天気ラブラブになんて、なれません。「これからの月日を二人で重ねていこう」的な大人ハッピーエンドが希望です。

また、原作ではフェルナンはもう少しいいやつで、エドモンを陥れたことを後悔し、メルセデスにもちゃんと愛情をもって接しているキャラでした。タカラヅカ版でも息子アルベール（※フェルナンの息子かと思ったら、実はエドモンの息子だとラストで明かされる、原作とは異なる設定）があんな好青年に育ったことから、フェルナンにも人としてのそれなりの愛情を持ち合わせていたのではないかと思います。フェルナン極悪キャラでいくなら、アルベールの言動に暗さがないと辻褄が合わないです。フェルナンのキャラ設定が、ここでちょっとぶれる気が。フェルナンは、原作寄りのキャラ、後悔の気持ちと愛情を持ち合わせた人物像が私的希望です。

とはいえ、文庫版で7冊という超長い小説を、宝塚歌劇では歌ありミュージカルの1時間半にコンパクトによくまとめています。ルイジ・ヴァンパを山賊ではなく海賊に変えて、あの場面この場面等々をばっさりカットし、あそこは省略最小限にして、主軸はちゃんと残して復讐劇の辻褄を合わせて・・・って、なかなかの脚本力だな～～と私は思いました。ラストは気に入らないけれど、ごり押しハッピーエンドがタカラヅカの醍醐味だと思えば、なんだか許せます。だってタカラヅカだし。

ツッコミはあるものの、星組のモンテ・クリスト伯を観てみたいという気持ちの方が上回っています。ぐぬぬ・・・負けた・・・。

9月のスケジュールに星組全国ツアーの予定もメモっておこうっと。

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